地下鉄


地下鉄、千日前線の阿波座駅。
電車を待ってて声掛けられた。


「どちらからですか?」



一瞬間が空いたけど、すぐに同じ参加者と解りました。
ネックストラップ外してなかった。僕もよくやるけど。


「長崎からです。どちらからですか?」

「福井からです。少しお話してもいいですか?」


見た目は…僕より一回りぐらい上だろうか。
丁寧な物腰なんだけど、失礼を承知で申し上げれば
世の中のため息の様な風体のおじさんだった。


「もう実際やってらっしゃるのですか?」



どうみても年は僕が下。でも重い空気のまま聞かれた。



「いえ、まだなんです。通所はやってますが…。」

「どちらにお勤めで?」

「いえ…一応、自分で。」

「…お若いのに、がんばってますね(ため息)」


なんとも空気の質感が変わらない。


電車が来て、二人で乗り込んだ。
また電車の中がガラガラなんだな。
仕方ないので喋り続けるしかなかった。


「どうなんでしょうね、訪問って」


(いや、それが解らないから来てんだけど…。)


「今日の話聞く限りでは、難しそうかな・・・なんて(薄笑)」


「僕もね、そう思うんです…(ため息)」


(返し、失敗したかな…)


そこからしばらく話をしたんだ。
福井でも田舎の方ですって言っておられた。
通所と訪問の管理者さんだそうで、苦労が絶えないと。
一件で片道20キロって訪問がザラだそうで


「今日の話聞いて(ため息)、一日7、8件なんてとても…。」

(あちゃ…)


経験のない僕には、元気づける言葉が見つからず
せめて通所にと思って話を振った。
ほんの二駅ぐらいの間なので、実際は5分もなかったと思う。


電車の音に時々消されながら、僕は自分の仕事を少しだけ話した。
介護予防を進めているコト。
リハと機能訓練の解釈の違いの自分の見解、そしてカフェの意味。


「ほぉ…。」

(ん…キラキラしているぞ。)


ほんの二駅の間、話したコトはそんなにたくさんは無かった。
桜川の駅で、降りようとした時、聞かれた。


「あの・・・会社作って、よかったと思いますか?」


僕は迷わず答えた。


「はい、楽しいですよ」


「そうですか。」


ため息は消えて、少し笑っておられた。


桜川で降りて、南堀江のD&Dダイニングへ。
グリーンカレーを食べました。
お味がどうとか、そういうのはやめておきます。
そういうログでもありませんし。
ステキなお店でした。それで十分かと。


食べながら考えた。


明日最終日の会場に着いたら
あの人探して、横に座ってみよう。

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