士魂商才

先日、東北に伺ったときの話。



バスの発車まで時間があったもので、みちのく女海賊と行政の海賊(ま、言うなれば海軍)とスタバと牛タン屋で、3時間ほどコーヒー飲んだり、酒とを酌み交わしていた。その時、海軍の彼から2冊の本を頂いた。東北まで来てくれた土産だと言う。本のタイトルは「海賊と呼ばれた男」(上・下巻)。



南相馬に行くバスの中、帰りの飛行機、無い時間をかき集めて読んだ。コレ、かなり面白い。内容は、いわゆる歴史小説なのだが、戦後昭和の動乱期に石油を扱う商店の話。要はこの店主が主人公であるのだが、確かにこの店主が海賊なのである。



内容をコト細かに書き出すと、これから読もうと言う人に申し訳がないので割愛するが、その本の中の随所出てくる表現が、普段の僕の言葉やイメージにドンピシャなのだ。さすが海軍だと思った。彼が僕にこの本を手渡す時に言った台詞は「KCの言う海賊とは、つまりはこういうコトですよね?」その通りなのだ(笑)。



その本の中に、ひときわ光る一言を見つけた。



「士魂商才」


武士の魂を持って、商売をせよとの意味。



終戦直後、日本中が日々の糧と自分の事だけに生きる毎日の中で、その危機的な状況の日常の意味は、今後の産業や経済の発展を意味する所と読み取り、消費は凄まじい勢いで伸び、需要は多様化する中で、従来の社会システムでは追いつかなくなる世の中において、生産する者と消費する者とを結ぶ商人の必要性を説いている。



さらにその商人においては、単に金銭の利益に留まらず働く者の利益、消費する者の利益、商店全体の利益、国家の利益を志す者として描かれており、侍として、商人として、日本人として、いかに仕事を捉えるか?というコトが如実に表現されている。なにせ文章に臨場感があってドキドキするのだ。



海軍の彼は既に読んだという。



タイトル買いしたそうだが、読んで僕に渡さずにはいられなくなったと言った。



僕の思う海賊とは、士魂商才そのものだ。これまでのカンガエカタ、ヤリカタ、ツカイカタでは僕らの世界は変えられない。ただ、正攻法でやっても変えられないのである。だから、海賊と表現した。でも、その根底にある志の部分においては、その手段を進化させ商才にさせている訳だ。



あんたの海賊船の意味ってのは、こういうコトなんだよね。



そう解ってくれている海軍の彼に感謝しつつ、今食い入る様に読み進めている。



上巻を読み終えた所で、自分の思いも決まっていく感覚があった。



良い本と出会えたと思う。



四文字熟語でこんなにキュンと来たのは初めてかも。



士魂商才、良い言葉です。



そう思わない?

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