見た目ボロボロで、かろうじて開いた花のある苗。

朝から日差しが強かった。枯れ枯れの木製プランターを見てどこかの誰かに申し訳なく思ったので、ホームセンターから電気ドリルと先端工具、ブルーシートと替えの苗を3株買ってきて作業を始めた。買い物カゴより一回り大きいぐらいの木製プランターいっぱいに土が入っているので重たくて仕方ない。木製プランターの中身をブルーシートにひっくり返す。日差しで煮えた土がドサッと出てきて、その後に底石が出てくる。よく見ると木製プランターには2箇所しか穴が空いてないから通気の按配が悪い。18ミリの先端工具を電気ドリルに取り付け、事務所のコンセントに電源をつないだ。最初は18ミリの穴を数カ所開けた。木が柔らかいのもあって割と楽に穴があく。おがくずがたくさん出るのだがお構いなしに穴を開けていく。おがくずは後から片付ければよいと思ったからだ。穴を数カ所開け終わって電気ドリルの先端工具を付け替える。今度は5ミリ。小さめの穴をまた数カ所開けていく。おがくずの出方と片付け方は同じ考えだ。穴開け作業がひと段落する。そうすると木製プランターはなんとなく通気のいい底を見せてくれた。今後は底石を敷く。熱がこもらない様に通気を良くしたいというのが一番の目的だから底石は厚めに敷く。気づくと底石が足りない。最初に出し切った分では全然足りない。余ってる分は少ししかない。仕方がないので汗だくのまま車で近所のホームセンターに買いに走った。日焼けしないように黒い長袖Tシャツにジーパン、帽子にマスクをして首にタオルを巻いている。一人で作業しているので見た目などどうでもいいと思っていたが、さすがにレジの前で少々恥ずかしさはあった。しかし作業は途中。だからなりふり構っていられない。18リットルと書かれた底石の袋を肩に担いで車にもどり、トランクに乗せて事務所に戻る。事務所の前は、日差しがさらに強くなっていた。底石の袋を開け普通の3倍ぐらいの厚さに底石を敷く。土を盛っていく。一度使っている土を、ふるいにかけながら丁寧に丁寧に小石を取り覗いた土を盛っていく。途中、枯れてしまった苗を一緒に埋めた。もう花は咲かないが、下支えぐらいの役目はあるぞとつぶやきつつ枯れた苗を敷き詰めてまた土を盛った。途中で肥料を足す。白い丸い粒の肥料を土の上に目分量で巻いた。そしてまた土を盛る。その作業を3時間ぐらいやった。炎天下で体感温度は40度をゆうに超えていたと思う。日焼け対策の服の中からは熱が逃げない。時々水分を補給しつつ、自分の体力と自問自答しつつ、作業を続けた。生き残った花の苗を移植する。見た目はボロボロだがまだかろうじて花を開かせている苗を選んだ。盛った土の上に、正確に6箇所、軍手で穴を掘る。苗が自分を支えられるように少し深めに掘った。その穴に、一つ一つ大事に大事に移植した。今度こそ枯れない様にと木製プランターの場所を変えた。今までよりは日当たりが強くなく適当な所で、人の目にも当たる所に場所を変えた。土の入った木製プランターは重くて仕方ない。プラスチックの台車を持ってきた。木製プランターを斜めに持ち上げ台車を差し込み、てこの原理よろしく何とか一人で台車の上に乗せる。日当たりと水やりのコトを考えて位置を決め、その場所までゆっくり移動させて乗せた時と同じ方法でゆっくりと下ろす。見た目はボロボロだが、かろうじて開いた花のある苗は、新しい場所とその環境で必死に何とか次の段階を目指そうとしてる様に見えた。傍で熱中症寸前の状態と戦いながら水分を取り、体に鞭を打ってジョウロに水を汲んできた。負荷にならない様に少しずつ少しずつ水をやった。柔らかめに持っていた土が水分を含むと少し沈む。根が表に出て来ない様に注意しながら少しずつ水を加えていく。普段蛇口がぶっ壊れたぐらいの勢いで出る汗は、結局最後まで蛇口がぶっ壊れたぐらいの勢いで流れ続けてた。



一日経って、今朝その木製プランターを見た。見た目ボロボロでかろうじて開いた花のある苗が、なんとなく少し元気になっている様に見えた。どこの誰が作ってくれたか分からない木製プランターに、た目ボロボロでかろうじて開いた花のある苗が、なんとなく上手く収まってそこを居場所にしている様に見えた。



新規事業とは、そういうコトだ。



Jason Mrazの「Live High」が合いそうだ。

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