磨くというコト。

画面の中のおじさんがでっかい声で繰り返し言う。「投資家は、投資したくなる話が聞きたいんですよ。」と話す。余計な言葉は要らないらしい。文字が多いのは見たくないと言う。精精、スライド一枚160字なのだそうだ。サラッと見せてくれるピッチブックのいくつかは、確かにスマートに仕上がっている。僕も、人前で話す時、これまで随分とそこに拘ったつもりだったんだけど、長さんの言う「シンプルに」というのは、僕のそれとはどうも違うのだというコトが勉強になった。新鮮だった。

48歳のおじさんが、新しいコトに向き合うのはしんどい。楽でない。きつい。嫌だ。寝たい。飲みに行きたい。言いたい事だけ言って気楽に仕事したい。休みは休みたい。面倒に巻き込まれるのはごめんだ。という風に、48歳のおじさんが新しいコトに向き合うのはしんどいと思うコトを上げ出せば枚挙に遑がない。そして、土曜の朝、誰も居ない会社でセブンのグアテマラブレンドのコーヒー片手にメールを開くと、ピッチブックとコンサルのスケジュールが送られてきてて、おじさんよ、今からもっと「磨く」ぞと書かれてる。

最近、浜田省吾の曲を良く聞いてる。3月に新曲が出たそうで、Applemusicでその新曲に出会ってしまい何となく聞き戻ってる。浜田省吾は中学生ぐらいの時に良く聞いてた。アメリカンロックでサーフミュージックで、尖ってる詩もあるけど聞き易い曲も多い。ただ、言っときたいのは昔を懐かしんで「じゃ俺ももういっちょ!」と思うとかそんな話ではない。そんなコトは全く思ってない。ただ、67歳の浜田省吾の曲も耳心地良く、35年前の浜田省吾の曲が仕事の傍らで流れる時、ああ「磨く」ってのはこういうコトなんだと思っただけの話。

僕が、みんなと一緒にやってきた「リエゾングループ」という考えは、今年25周年を迎える。浜田省吾の35年にはまだ10年足りないんだけど、何とか25年は続けられた。25年続けられればもう十分で「50歳で引退して、小説家に。」と思っていた。そして、そんなお気楽な夢は、今朝の長さんの資料で全部吹き飛ばされ、すっからかんになりかけたオンボロ車は、35年前の浜田省吾の曲でガソリンが満タンになってしまった。もっと悲しいコトに、これから10年、僕が何をどう磨くかというアイディアが頭の中から湯水の様に湧いてくる。

まったく迷惑な話だが、つまりは楽しいのだ。

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